安全ガイド

ASUSの焼損対策は「ピン1本ずつ見張る」【Power Detector+とROG Equalizer】

公開日:2026-09-01 著者:組立テルノ

焼損対策シリーズ 第3回

結論:ASUSの答えは「ピン1本ずつ見張って、見せる」。情報量は最強、止めるのは人間

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

前回のASRockは「電源が電気を止める」だったよね。ASUSは何が違うの?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

ASUSは反対側から攻めてるんだ。焼損の原因だった「電流の偏り」を、ピン1本ずつ数字で見えるようにした。ユーザーに見えなかったものを見えるようにする路線だね。
選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

えっ、あの見えないはずの偏りが画面で見えるの!?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

最上位モデル限定だけどね。今日は「監視するグラボ」「均すケーブル」「見せる電源」というASUSの3点セットを順番に見ていくよ。

この記事は焼損対策シリーズの第3回です。問題の経緯は第1回(なぜ溶けるのか)、電源側で遮断するASRockの対策は第2回をどうぞ。

【対策①】Power Detector+——12Vピン6本を個別に監視するグラボ

ASUSの看板対策は、最上位グラボ「ROG Astral」シリーズ(RTX 5090/5080)に載るPower Detector+です。基板上の監視チップが12V-2x6コネクタの6本の12Vピンを1本ずつ電流監視し、専用ソフト(GPU Tweak III)で実際の数値を表示。電流の偏りや接続不良を検知すると警告を出します(ASUS公式の解説)。

第1回で見たとおり、焼損の核心は「1本のピンへの電流集中」でした。それをユーザーが数字で見られるのは、対策として真正面です。ただし重要な限界があります。公式機能がやってくれるのは警告までで、自動でカードを止めたりはしません。

この「止めてくれない」穴を埋めるために、海外ユーザーが監視値に応じて自動で電力制限やシャットダウンを行うオープンソースのツールを作った、という動きまで出ています(ROG Astral専用・自己責任の世界です)。公式が「見せる」に徹しているからこそ生まれた文化とも言えます。

では、ピン別監視は実際どんな場面で役に立つのか。想定される代表的なシナリオは3つあります。

画面に見える異常疑われる原因打てる手
特定の1本だけ電流が高い接触抵抗の偏り(焼損の前段階)電源を切って挿し直し。改善しなければケーブル交換
特定の1本がほぼ0Aそのピンの接触不良(残りに負荷集中)同上。ラッチと挿し込み深さを確認
組み込み直後から偏りが大きいケーブルの品質・初期不良純正ケーブルへの交換、販売店への相談

ポイントは、どれも「溶ける前」に打てる手だということ。事後の保険ではなく事前の健康診断として機能します。

【対策②】ROG Equalizerケーブル——偏りを「均し」、温度を測る

2つ目は電源側のアプローチです。ROG Thor IIIなどの上位電源に同梱(単品販売もあり)されるROG Equalizer 12V-2x6ケーブルは、各導線の負荷バランスを整え、さらにコネクタ部の温度を直接測定してソフトに表示します(ASUS公式プレス)。

偏りを「監視する」だけでなく「均す」方向に踏み込んだのが特徴で、海外のユーザーテストではGPU側コネクタ温度が約9℃下がったという報告も出ています。温度が下がる=発熱の悪循環の起点を弱める、という点で理にかなっています。

組立テルノ(専門家)

組立テルノ

「グラボで見張る」「ケーブルで均す」「電源とソフトで見せる」——ASUSの対策は単品じゃなくて生態系なんだ。揃えるほど効くけど、揃えるほどお金がかかる。ここがこの方式の性格だね。

どこまで揃えると何ができるのか、段階で整理するとこうなります。

構成できること費用感
ROG Astralグラボのみピン別電流の監視と警告(GPU Tweak III)最上位グラボの価格そのもの
+ROG Equalizerケーブル負荷の均し+コネクタ温度の表示が加わる単品約50ドル(対応電源が必要)
+ROG Thor III電源電源側の電圧・電流・温度もソフトに集約ハイエンド電源の価格帯
通常のASUSカード+Equalizerのみ温度の可視化と均しだけ利用(ピン別監視なし)現実的な折衷案

【評価】ASUS方式の強みと弱み

強み

  • ・焼損の核心「ピンごとの偏り」を直接可視化できる唯一級の情報量
  • ・ケーブルで偏りを「均す」能動的アプローチ
  • ・異常の「予兆」の段階で気づける(壊れる前に手を打てる)

弱み

  • ・公式は警告まで。自動で止めるのは弱い
  • ・ピン別監視は最上位ROG Astral限定で高価
  • ・画面を見ていない時間(無人稼働)には警告の意味が薄い

私の使い方(夜間の無人AI生成)だと「見せてくれても寝てるから見えない」ので、電源側で遮断するASRock方式を選びました。逆に、日中にゲームで使い、状態を把握したい人にはASUS方式の情報量は唯一無二です。使い方で正解が変わる、いい対比になっています。

ASRockの焼損対策記事のサムネイル

安全ガイド・第2回

ASRockの焼損対策は「電源が電気を止める」【TC-1300T所有者レビュー】

FAQ

よくある質問

ASUSのグラボなら、どれでもピン別監視が付いていますか?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q1

ASUSのグラボなら、どれでもピン別監視が付いていますか?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

付いていません。ピンごとの電流監視(Power Detector+)が載るのは最上位のROG Astralシリーズです。TUFやPRIMEなど普及帯のカードには載っていないので、「ASUS製だから安心」と一括りにしないでください。買う前に製品ページで機能名を確認するのが確実です。

警告が出たら、何をすればいいのですか?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q2

警告が出たら、何をすればいいのですか?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

まずゲームや生成などGPUの負荷を止めて、電源を切ってからコネクタを確認してください。見るのは「奥まで挿さっているか」「根元が曲がっていないか」「変色がないか」の3点です。警告は「これから壊れる予兆を見せてくれた」ということなので、そのまま使い続けるのが一番もったいない対応です。

Thor III電源を買えば、それだけで守られますか?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q3

Thor III電源を買えば、それだけで守られますか?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

電源単体というより「ROG Equalizerケーブルとの組み合わせ」が本体です。負荷の均し込みとコネクタ温度の測定はケーブル側の仕事で、電源はそれをソフトに見せる土台になります。ASUSの対策はグラボ・ケーブル・電源・ソフトを揃えるほど効く生態系型だと理解してください。

ASRockの「電源が遮断する」方式と、どちらが安心ですか?

選部マヨ子(初心者)

選部マヨ子

Q4

ASRockの「電源が遮断する」方式と、どちらが安心ですか?
組立テルノ(専門家)

組立テルノ

思想が違うんだ。ASUSは「異常を見せて人に判断させる」寄りで、監視画面を見られる人には情報量が最強。ASRockは「問答無用で電気を切る」寄りで、寝ている間も機能する。私は夜間の無人稼働が多いから後者を選んだけど、日中ゲーム中心で画面を見ていられる人ならASUS型の充実度は魅力だよ。横並びの比較はシリーズの比較編でやるね。